もぐもぐコラム

きのこ生産の歴史に学び、きのこの新たな食べ方創出に加速を!

8月から9月末まで中野市立博物館では『きのこ生産の歴史と未来』と題して、きのこの企画展が開催され、のぞきパネルと大きなきのこオブジェが来館者をお待ちしています。この事業は、県の地域発元気づくり支援金を活用したものです。

▲きのこオブジェとのぞきパネル

 

長野県にエノキタケの栽培が導入されたのはいつでしょうか?京都の森本彦三郎氏が日本で最初に栽培を確立したのは昭和3年のことです。その同じ年、松代町出身旧屋代中学の理科の先生、長谷川五作氏が栽培に成功、その10年後に松代町の山寺信氏が現在に通じるエノキタケの暗室紙巻栽培を開発したのです。この京都で開発されたエノキタケ栽培が長野県で改良進化するという関係性があるかと思いきや、さらに「なめ茸茶漬け」までもが京都嵐山料亭「錦」で開発されると、長野県の特産品として多くの加工会社が製造販売してきたのです。

長野県では、昭和30年前後から行政を先頭に出稼ぎからの解放と冬の換金作物として、北信地方の農家から普及を始めました。この取り組みは今にして思えばすごいことです。官民学の一体的地域農業振興事業で、今どきの地方創生事業として学ぶところ大です。

生産販売の歴史だけでなく、きのこの制癌研究の歴史、28点に及ぶ全国ご当地レトルトきのこカレー展示は、次代を予感します。

今、きのこの主題は、栽培から食べ方の技術に変わってきました。『キノコをおいしく食べたい』は永遠のテーマです。

私の一押しを2つ紹介します。

まずエノキタケのかき揚げです。青シソと小女子を加えたエノキタケをかき揚げにします。凝縮された旨味、香ばしさとシソの風味が調和します。

▲エノキタケのかき揚げ

 

次は、エノキタケカブを使った、『きのこバーグ』です。石突の上のカブ部分をパン粉で包んで唐揚げし、バンズで挟んでいます。ダイナミック&エノキタケの旨みが貝柱のようです。きのこも新たな工夫で斬新メニューに変身ですね。

▲きのこバーグ


前澤 憲雄
おいしい信州ふーど公使
前澤 憲雄さん
一般社団法人 日本きのこマイスター協会理事長
元JA中野市常務理事、県JAグループきのこ専門委員会長等を歴任
日本きのこ学会評議員
北信州農業道場長