2020.03.08
心も身体もフレッシュに! 春の日本酒の愉しみ方
長野県の酒蔵の数は、約80と全国で2番目の多さを誇っています。山国信州では、その土地土地での日本酒が地の食と共に昔から親しまれて来ました。日本酒の魅力はたくさんありますが、「時間経過」や「温度変化」で風味が様々に変わることは、他の酒類では中々みることができません。
と、ここまでは昨年も同じようなことを書かせていただきました。
さて三月は、年度末で卒業・入学・転退職・入社など、人生の節目を迎える方々も多い時期かと思います。そこで今回は、そんな春にお飲みいただきたい「新酒」をご紹介させていただきます。昨秋に収穫されたお米は、冬期(寒い時期)に日本酒として仕込まれます。「日本酒は一年中いつでも造れる」と思われている方が多いのですが、微生物相手の日本酒造りは、寒い時期に約一年分の酒を仕込む「寒造り」をしています。(該当しない蔵もあります)それをお酒の状態や出すタイミングで、季節やシーンに合わせた様々なタイプのお酒として流通させます。寒造りで搾られたお酒が、「しぼりたて」や「新酒」として、特にこの時期に多く方の口に入るのもそう言った理由からです。出来立ての日本酒ということもあり、香りも華やかなタイプが多く、フレッシュ感に溢れ、出来立て特有の苦みや渋みもあり、お酒によってはアルコール発酵で生じた炭酸ガスが酒に絡み、ピリピリ・チクチクと舌を刺激して、より爽やかで瑞々しい印象を与えてくれます。
この時期に採れる春の味覚に多い、多少の苦みを持った「ふきのとう・タラの芽・タケノコ」や春野菜を使ったお料理や、春の果物とフルーティーなお酒との相性はとても良く、更には「つまみ要らず」なんて云う程フルーティーなお酒も登場して来ます。
新たなスタートを切るご家族やお仲間と、こういったフレッシュで若々しい地酒を、様々なシーンでお楽しみいただいてみてはいかがでしょうか?
宮島国彦さん
長野県小売酒販組合連合会 青年協議会 初代会長
日本酒サービス研究会認定「日本酒 きき酒師」
SBCラジオ「ともラジ」の地酒 レギュラー指南役(2015~2018年)