もぐもぐコラム

vol.9 宮島公使 ~心も身体も温まる 冬の日本酒のHOTな愉しみ方~

長野県の酒蔵の数は、80蔵と、全国で2番目の多さを誇っています。

山国信州では、その土地土地での日本酒が地の食と共に昔から親しまれています。

日本酒は、春夏秋冬でさまざまな季節のお酒を愉しめる時代となりました。前回まで書かせていただいた中では、「しぼりたて新酒」・秋の「ひやおろし」など、『季節に合わせた地酒』をご紹介させていただきましたが、今回は、おいしくお飲みいただく「地酒の飲用温度」についてのお話をさせていただきます。

日本酒は、飲用温度を分けると、大きく三つに分かれます。『冷やして・冷や(常温)・お燗(温める)』です。

冷やしてお飲みいただく場合には、家庭用冷蔵庫の温度帯で充分お愉しみいただけます。甘味が強いお酒は冷やすことで引き締まった味わいになり、冷やしてみて酸味が強いお酒は、常温(冷や)にすることで、甘味やうま味とのバランスが良くなる傾向にあります。

さてそのお燗酒は、お飲みになる温度帯でいろいろな風味の表情を見せます。お燗には、さまざまな方法と温度帯が存在します。これは、現代のように多種多様なお酒の風味を味わえなかった時代に、温度調節によってお酒の風味に変化を与え飲んでいたという歴史背景があります。お燗の文化は、奈良時代にまで遡ることができ、江戸時代には「お燗番」という「お燗のスペシャリスト」が存在していました。

それでは、そのお燗について具体的にお話ししたいと思います。まず結論から申し上げますと、簡単でおいしいお燗のつけ方は、80℃近辺のお湯に、徳利などに入れたお酒をつけ、お燗をする方法です。(仮に一合徳利で50℃のお燗をつける場合、3~4分で完成)

この方法をおすすめするのは、アルコール(エタノール)の沸点が約78.3℃であることが、その理由の一つとなっているからです。お酒の温度を上げることによって、アルコールの粘着性がなくなる特性があり、それと同時に、お酒の中の成分もそれぞれに変化をみせ、全体的な味覚が膨張します。そのお燗酒は、(お燗をするお酒の内容にも依りますが)圧倒的に温かい温度帯のお料理との相性が良く、特に鍋物との相性は最高です。(香辛料が強いモノは一部例外ですが)大根や白菜やネギなどの信州の冬野菜をふんだんに使った鍋は、お燗酒と共にすることで身体も心も本当に温まります。

コロナ禍で大人数で一つの鍋をつつくことはなかなか出来なさそうな時期ですが、年末年始は、明るい新年を願って、「おいしい信州ふーど」とおいしい信州の地酒を、ゆっくりとお燗などで愉しんでいただく時間を創ってみてはいかがでしょうか?

写真について

「徳利」や「ちろり(お燗専用器)」、「平盃(ひらさかずき)」に「お燗用温度計」。「徳利」「平盃」(上の写真手前)には、揮発を逃がす効果があり、お燗酒に向いています。お燗用温度計には、お燗の温度帯の目安がわかりやすく表記されています。

「徳利」や「ちろり」、「平盃」は、その素材によって購入価格に大きな差がありますが、「お燗用温度計」は、安価(1.000円前後)で他の料理の温度を計るのにも重宝しますのでお薦めです。

※「お燗用語」ご紹介

★「燗映え(カンバエ)・燗上がり(カンアガリ)する」: 燗をつけることで味が引き出され、味が格段に良くなること。

★「燗冷まし(カンザマシ)」:燗をつけた日本酒が冷えてしまった状態や、意図的に冷やした状態のこと。

★「燗崩れ(カンクズレ)」:「燗冷まし」になった時、日本酒の風味のバランスが崩れてしまった状態のこと。

 

注)「燗冷まし」になっても、必ずしも「燗崩れ」になるとは限らないので誤解しないでください。


宮島 国彦
おいしい信州ふーど公使
宮島 国彦さん
・信州長野県の地酒専門店
 地酒屋宮島 代表
・長野県小売酒販組合連合会
 青年協議会 初代会長
・日本酒サービス研究会認定
 「日本酒 きき酒師」
・SBCラジオ「ともラジ」の地酒
 レギュラー指南役(2015~2018年)