もぐもぐコラム

信州で楽しめる縄文風料理-フライパンひとつで料理する-

信州の各地で、縄文遺跡の竪穴住居跡や土器が発掘されている。

土器・水・火を使う食の原点を、「浅間縄文ミュージアム」主任学芸員の堤隆氏との講座で何年か前に体験した。

竪穴住居で炉を家族で囲んで、その日の山野からの恵みを、木の葉に包んで蒸し焼きにしたり、土器の鍋で煮込んで食べていた料理の原点を思い起こしながら、フライパン一つで縄文風料理を家族で楽しんでみたい。

山野にある食用になる草木の葉、キャベツやレタスなど畑の野菜の葉・・・、水無月(6月)になると、信州の山里に繁茂している。これらを活用して、フライパン一つで「縄文風蒸し焼き料理」ができる。

作り方は簡単だ。例えば、今、野に葉を広げきっているフキの葉を、フライパンに敷き詰める。その上に大ぶりに切った野菜・肉・魚・山菜等をたっぷりとのせて、軽く塩をして、フキの葉で食材を覆いつくし、フライパンに蓋をして、弱火で蒸し焼きにする。食材に火が通ればできあがりだ。

フライパンをそのまま食卓に出し、蓋を開ければ、湯気と共にフキの葉の初夏の爽やかで芳醇な香りが立ちのぼる。フキの葉を寄せれば、蒸し焼きになった食材にフキの香りが付いて、塩味だけで十分に食べられる。

縄文風蒸し焼き料理は、フキの葉を使わなくても、身近にあるキャベツ・レタス・白菜・野沢菜等、野菜の葉を使って食材を蒸し焼きすれば、葉まで全て食べられる。

縄文後期には、既に土器で海水を煮詰めて塩が作られていたという。

シンプルな料理こそ、味付けの基本になる塩・味噌・醤油など調味料の質に気を遣いたい。信州の大地に恵まれる良質の食材と調味料のレベル合わせが、簡素で早く健康に良い料理ができることを縄文料理は教えてくれる。


北沢 正和
おいしい信州ふーど公使
北沢 正和さん
株式会社 しなの文化研究所
手打ちそば、山里の彩り料理「職人館」(佐久市)館主
第1回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」シルバー賞受賞